なんて素敵にジャパネスク〈3〉人妻編 (コバルト文庫)
「ジャパネスク」シリーズ第五作。"物の怪憑きの姫"と呼ばれた天衣無縫の瑠璃姫も遂に高彬と結婚する事に。と言う訳で本作は"人妻"編。 しかし、作者の狙いは失敗しているように見える。本シリーズの面白さは、雅な平安朝に時代設定を置き、藤原家の"異端児"瑠璃姫をヒロインにして、陰謀渦巻く宮廷を舞台に恋と冒険活劇を現代調で描く事にあった。それが、瑠璃姫が人妻になった途端、高彬の浮気の心配や逆に瑠璃姫と峯男(守弥)の再会によるトキメキが話の中心になり、下手な昼メロを見ているようである。 帝を巻き込んだ大陰謀や、瑠璃姫を狙う事件と言った能動的仕掛けがないと、単なる少女向けのメロドラマになってしまうのである。本シリーズは瑠璃姫が躍動しないと面白くない。作者はこの時独身の由で、想像で少女向けに人妻ものを書くとこの程度になってしまうと言う悪い典型の作品。シリーズの後の作品では、陰謀ものを取り入れて盛り返しているのだが。本作は新妻の瑠璃姫のための小休止と言った所か。
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