なんて素敵にジャパネスク〈4〉不倫編 (コバルト文庫)
「ジャパネスク」シリーズ第六作。前作の"人妻編"に続く"不倫編"だが、駄作の連打になった。作者のエッセイを読むと、東京に出てから精神不調状態で本シリーズ執筆時は独身の由。未婚の女性が少女向けに新婚ものを書くと、こうした箸にも棒にも掛からない作品しか出来ないと言う典型の本。 本シリーズの面白さは、雅な平安朝に時代設定を置き、藤原家の"物の怪憑き"瑠璃姫をヒロインにして、陰謀渦巻く宮廷を舞台に恋と冒険活劇を現代調で描く事にあった。それが、本作では煌姫と今師の宮の陰謀に、高彬と守弥が右往左往し、瑠璃姫も困惑する様が鬱々と描かれているだけ。特に高彬の逆上と落胆が目立つのが印象的で、下手な昼メロを見ているようである。 帝を巻き込んだ大陰謀や、瑠璃姫を狙う事件と言った能動的仕掛けがないと、単なる少女向けのメロドラマになってしまうのである。本シリーズは瑠璃姫が躍動しないと面白くない。作者自身このシリーズの魅力が分かっていないのではないか。シリーズの後の作品では、陰謀ものを取り入れて盛り返しているのだが。ジメジメした"嫉妬もの"から脱却して、明るく破天荒な物語に戻って欲しい。
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